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面白いインドの選挙事情 - インドの下院選挙2019で学んだこと

5月23日(木)、2019年インド総選挙の結果が発表され、現職のナレンドラ・モディ首相が率いるインド人民党(BJP)の圧勝でした。

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インドの下院総選挙は5年ごとに行われます。選挙権が与えられるのは18歳からで、今年初めて選挙をする人は約8400万人。そして今回の有権者数はなんと9億人と言われています。(ちなみに2017年のデータによると、EU加盟国28カ国の総人口は約5億人。)選挙委員会によると2019年総選挙の投票率は67.1%と最高の投票率だったそうです。

 

今回はインドの選挙は日本とは異なることが多いため、2019年インドの総選挙について書きたいと思います。

 

インドの長い投票期間

2019年3月10日、選挙管理委員会によって選挙日のスケジュールが発表されました。投票日は選挙区毎に7つのグループに分けられ、4月11日〜5月19日の6週間の間にグループ1から順次に実施されます。

 

例えば、ムンバイはグループ4なので、ムンバイの選挙権を持つ有権者達は4月29日(月)に投票します。またデリーはグループ6に所属しているため、5月12日(日)が投票日となります。

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             timenownews.comより

 

投票したという印

投票をし終わると、その証明として(基本的には)左手の人差指の爪の部分に消えないインクがつけらます。一人の人が何回も不正に投票することを防ぐためだそうです。

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               yourstory.comより

1962年以来、インドの企業Mysore Paints & Varnishが極秘の化学処方で製造しているそうです。通常新しい爪が伸びるまで、石鹸で洗っても何をしても落ちないインクですが、健康に害は一切ないとのことです。が!今回の選挙では、除光液で落ちちゃったわ!」というTwitterがあいつぎました。  

    

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Dry Day…

インドではDry Dayという日が年間に約25日前後あります。Dry Dayとは酒屋、レストラン、ホテルなど公共な場所でのお酒の販売が出来ない日をいいます。

 

たいてい、宗教の神様の誕生日、例えば、シバ神の誕生日(3月4日)、マハトマ・ガンジーの誕生日(10月2日)クリスマス(12月25日)などがDry Dayとなります。

 

これを知らないと、レストランに行ってもビール、ワインが注文できず、がっかりすることになりますのでご注意を。

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今年は通常のDry Dayに加え、投票日の投票終了時間(午後6時)の48時間前から投票終了時間まで、そして開票日(5月23日)の24時間がDry Dayでした。

 

例えば、デリーは5月12日(日)ですから、10日午後6時ごろから12日の午後6時ごろまでお酒の販売が禁止でした。

 

インド人曰く、選挙期間は政治に関しての議論が激しくなるため、お酒を飲んでいると、殴り合いになるかもしれないからとのことです。

 

選挙結果への反応

多くのヒンドゥー教徒やビジネスを行なっている人々はモディ首相、インド人民党の勝利をとても喜んでいます。インド人民党の勝利が確立した瞬間、インドの株価が最高値に達しました。また中級階級、富裕階級が大きな買い物をし始めたというニュースも聞きました。

 

その反面、今回の選挙結果に恐怖と不安を抱いている人々も少なくありません。

 

第一に、現職のモディ首相が率いるインド人民党ヒンドゥーナショナリズムの色が濃い政党だと言われています。そのため、少数派である特にイスラム教徒たちにとっては現政党、社会に対して大きな不安を抱いているという声を聞きます。

 

第二に、失業率の増加と特に若者が仕事につけないということです。State of Working Indiaのまとめた資料によると、インドには約2300万人の失業者がおり、そのうちの1/3が高学歴の若者達だそうです。今回の選挙運動中、この問題について十分な対策が聞かれなかったという若者達からの不満も出ていました。

 

どの国にも大きな課題があるものですが、兎にも角にもこんなに人口が多く、土地によって全く言語も文化も宗教も違い、若いエネルギーに満ち溢れる国を取りまとめようとしているインド政府の力のすごさを改めて感じさせられました。

 

今回インド人民党が勝利宣言をするとすぐに、隣国のパキスタンのカーン首相はモディ首相にTwitterで次のような温かいメッセージを送っています。

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「モディ首相、おめでとう。南アジアの発展、平和、繁栄のために共に努力し、働いていくことを楽しみにしているよ」

 

記憶に新しい方も多いと思いますが、インドとパキスタンが領有権を争うカシミール地方で、今年に入ってすでに何回も衝突しています。その中でのこの祝福のメッセージ!

 

このカーン首相の祝福のメッセージに対しても、モディ首相はお礼と「我々の地域の平和と発展は一番の重要事項です。」という返信をしています。

 

普段は敵対同士の間柄でも、大事な時に、このようなやりとりができるインドとパキスタンの首相同士の関係にも大人だなと思いました。

 

というわけで、今回6週間ほどの間に、かなり面白く学ぶことが多いインドの選挙でした。

 

参考サイト: