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INDIAN CRAFT WEEKで見た伝統工芸品に驚いた!

 先日、デリーで第一回India Craft Weekが開催されました。インドの伝統工芸品と素晴らしい技術を持った職人さんたちがインドの各地から集まってきました。

 

今回はその展示会で出会った素晴らしい工芸品をいくつかご紹介したいと思います。

 

Rogan Art (ロガンアート)

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これ、刺繍ではないんです。

 

ロガンとはペルシャ語で「油性の」という意味。ヒマシ油を熱することで粘り気をだし、そこに植物染料で色をつけます。親指の付け根のふくらみの部分をパレットのように使い、先が丸まったメタル棒を筆代わりにして下書きなどせず、すべて職人の経験と創造力によって布に直接描いてくんです! 

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モチーフは幾何学的な草木や花、孔雀が主だそうです。

 

幾何学的な柄を作る場合、職人さんは布の片面に直接柄を描きます。それが完成したら、その布を半分に折り、描いた柄をもう片方の面に版画のように押し付けていきます。開くと美しいシンメトリーの柄が映し出され、作品の完成です。

           vimeo.com

ロガンアートは、300年以上前、ペルシャから伝えられた技術です、現在ではクチ州ニローナ村に住むGafur家の一家族のみによって作成されています。

 

今のインドのモディ首相が元オバマ大統領を訪問した際、このロガンアートの作品を何枚かプレゼントされたそうです。

 

Bidriware

すばらしい芸術作品や工芸品を完成させるためには、相当の時間と忍耐力が費やされます。Bidriwareもそのうちの一つ。

 

こちらはインドの南西部カルナータカ州にあるビダール(Bidar)という街で作られている金属工芸品です。14C-15Cごろ、ペルシャから伝わり、その後、トルコ、アラブ諸国、そして地元ビダールの文化のデザインが交わり現在のような素晴らしい工芸品となりました。

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土台となる黒い部分は地元のBidar要塞周辺から採れる特別な土を使って作られています。質の高い土を採取するために、職人たちは舌の先で味見(?)をして、どの土が一番よいかを決めるのだそうです。

 

土台が出来上がると、細い針金のような純銀の薄いシートを金槌で打ち込んでいきます。気の遠くなる作業ですが、黒漆喰のようなシックな土台に、繊細な銀色の柄がよく映え、とても素敵な箱や花瓶などが出来上がります。

            youtu.be

 

カッチ(Kutich )刺繍

インドの各地には多くの種類の織物や刺繍が見られます。

 

今回この展示会でお会いしたのがインド西部グジュラート州カッチという所からいらしたラクシャさんです。カッチ刺繍は鮮やかな色彩と鏡やビーズを使ったデザインが特徴的です。

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カッチ刺繍は16世紀から17世紀ごろ今のアフガニスタンギリシャ、イランなどから伝わったと言われています。主に女性の仕事で、おばあさんから、お母さん、そして娘さんへ代々伝えらえてきました。

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ラクシャさんは10歳ごろからカッチ刺繍をやっているというベテラン中のベテランです。カナダに在住の息子さんが一人いらっしゃり、お嫁さんが最近カッチ刺繍を始めてくれたのよと嬉しそうに話してくれました。

 

インドの切り絵

インドにも切り絵がありました。みてください、こちらの大作!(ちなみに紙の切り絵です。)

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後継者不足

日本をはじめ、各国で伝統技術の後継者不足が叫ばれています。インドも例外ではないそうです。こちらのリバーシブルな刺繍をする女性は現在83歳。

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技術を習得するのが困難なことと、時間がかかる割には収入が少ないことなどで、後継者になる人がいないため、この技術を持つのは彼女が最後の一人なのだそうです。

 

各ブースでのデモンストレーションを見られたことで、職人さんがもつ素晴らしい技術、真剣な眼差し、忍耐力、それを長年に渡って伝授してきた(またはしていく)人々に対して、改めて「職人てすごい!」と感じさせられました。

 

私が帰る頃に、遠足でしょうか、小学生ぐらいの子供たちがそれぞれのブースを訪れ、職人さんたちの技術を見て、私と同様「わ〜」と驚嘆していました。この中から「私も職人になりたい!」という将来の夢を持つ子が現れ、この素晴らしい伝統技術がいつまでも続いてくことを願っています。

 

参考サイト

  • 9 Indian Art Forms That Could Disappear Forever If They’re Not Saved

         http://goo.gl/hdgNcN