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インドの闇世界と、光を指す人々 (1)

2017年に公開された映画「LION ライオン」をご覧になられた方も多いでしょう。

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                                                 from Austlian realse poster

 

インドに住む前は単に映画として見ていただけでした。

先日、ストリートチルドレンを保護している団体の代表の方とお話をした後に改めてこの映画を見てみました。そして私の家のそばで、今現在、同じようなことが起こっているということを知り、深い怒りと嫌悪を感じるとともに、この問題を少しずつでも解決しようと頑張っている人達への希望、光、凄さを感じました。

 

インドのデリーで生活をしていると、物乞いをするストリートチルドレンを毎日のように目にします。

私としては一人にあげると他に何人もの子供にお金や食べ物をあげなければならなくてキリがない。もしお金をあげたとしたら子供達はそれで何を買うのか?食べ物?それとも麻薬?またはそのお金を渡された親はそれで麻薬を買い、あの子供達は親に暴力を振るわれるかもしれないなどと考えると、無視をするか、Noとはっきり言うしかありません。でもそうした後に残る嫌な気持ちは、半年経っても変わりません。

 

そんなモヤモヤを抱えていた時、知人の紹介でGlobal Family Children’s Homeという団体の代表をしているヴィンセントさんにお会いする機会がありました。

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この団体はストリートチルドレン(6歳〜17歳)を保護し、カウンセリングをしながら、子供達の情報を元に親を探し出し、親の元に返すという活動をしています。

 

なぜストリートチルドレンになってしまうのか。その主な理由は次の3つです。

  • 人買い:田舎に住む親達に子供に都会でいい教育を受けさせてあげると言い含め、子供達を都会に連れて出し働かせたり、売ったりする
  • ピアプレッシャー:仲間達の麻薬売買に耐えられず、村を逃げ出す
  • 家出:親からのニグレクト、暴力などに会い、家から逃げ出す

Global Family Children’sHomeは2012年から活動をはじめ、517人の子供を保護。そのうち349人が家族の元に戻っています。そして家族の元に無事に帰った子供と親がきちんとした親子関係を築けるように次のようなフォローアップを行なっています

   

 

    目的

     内容

   親への教育

 

子供達を再びストリートチルドレンにしないため

子供への接し方

人買いの特徴を知らせる

子供が行方不明になった場合の行動

   子供達への

  フォローアップ

親との関係がうまくいっているか、精神的に安定しているかのチェック

定期的に家庭訪問(デリー/デリー周辺)

子供がどんな精神状態か”表情”にチェックするだけでスタッフに郵送できるシートを渡しておく

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             親への教育内容をまとめたもの

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       子供達が今の状況、精神状態に当てはまる欄にチェックする

 

ヴィンセントさんがここを卒業した一人の女性について話してくれました。

その女の子のお父さんは家庭内暴力をよく振るっていたそうです。ある日、悲惨な事件が起こりました。お父さんがお母さんとその女の子に斧で斬りつけたのです。お母さんはその場で死亡。女の子は重症を負いました。そしてGlobal Family Children’s Homeに保護されたのです。

 

その子は病院で傷の手当て受け、Global Family Children’s homeで週一回のカウンセリングを受けながら心身の傷を癒していきました。今では結婚し子供を産み幸せに暮らしているそうです。

文章に書くと単なる事実としてしか伝えられませんが、その話を聞いていた時、全身に鳥肌が立ちました。

 

この施設に連れてこられた子供達は、はじめは表情が固く、しばらくの間誰にも心を開かないそうです。しかし、ここが安全な場所であること、スタッフが信頼できる人であることを理解すると、少しずつ表情がゆるみ、笑顔が増え、まるで別人のように、何もかもが変化していくのを見ることがヴィンセントさん、そしてスタッフの方々にとって一番嬉しいことだそうです。

 

最後に、いつかこの問題がなくなる時が来るのでしょうかという質問に対し、ヴィンセントさんはこう答えてくれました。

「例えば20人のストリートチルドレンである男の子をここで保護し、社会に適合するようにケアーすることが、将来人買いになるかもしれない20人、家庭内暴力を起こすかもしれない20人を減らすことができるんです。少ない数かもしれないけどね。」と。

 

次回は保護された女の子達が暮らしている施設に訪問した時のことについて書きたいと思います。この訪問もかなりの驚きでした。