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知られざる日本の歴史がデリーのど真ん中にありました!

ニューデリーの観光地の一つにPurana Qila(プラーナ・キラー)という古い要塞があります。

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プラーナ・キラーは1533年〜1546年の間にムガール帝国の第二代皇帝フマユーンとそのライバルであるシェルシャー(Shah Shar Suri)によって建てられました。高さ18m、長さ約1.5mの城壁に囲まれた中には美しいモスクや庭園が残されています。

 

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ここは観光地だけではなく、デリーの若者達のデートスポットになっており、天気の良い日の午前中には、驚くほどたくさんのカップルが木陰や幸せそうに会話(?)を楽しんでいます。

 

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しかし、このプラーナ・キラーにはこんな日本の歴史があるのです。

 第二次世界大戦の開始直後から、当時のイギリスの植民地であったアジア(インド、シンガポールスリランカミャンマーなど)に住んでいた日本の民間人たちが拘束されて、ここプラーナ・キラーに強制収容されていました。拘留された日本人の数は約3000人。住居にはテントが与えられました。現在、4月の初めには既に気温は40度前後です。夏の暑さやモンスーンなど過酷な生活だったでしょう。

 

そして1年半後、拘束されていた日本人はラージャスターンにあるデオリ(Deoli)という場所に移されました。そこでは建物に収容されましたが、デオリは砂漠の近くに位置し、デリーのプラーナ・キラーよりもさらに暑さの厳しい場所です。暑さと過酷な生活条件からの病、事故などで多くの死が拘留されている日本人を襲ったと言われています。

 

そして戦争が終わった半年後、収容所で非常に悲惨な事件が起こったのです。日本政府の関係者がここに収容されていた日本人に日本が敗戦したという事実を伝えました。しかし、間も無く日本に帰国できるから冷静に対応するようにと呼びかけました。

 

ところが日本の敗戦を認めない「勝ち組」が敗戦を認めた「負け組」を襲撃したのです。収容所は混乱に陥り、これを阻止しようとしたインド軍が発砲。その結果女性、子供を含め19人が死亡しました。

 

生き残った日本人は1946年6月末に広島県に上陸し、引き上げ証明書、わずかな現金、食料そして物資を支給されただけで、混乱する戦後の日本社会に放たれたそうです。

 

なぜこの事実を知ったのか…。

インドのデリーに引っ越す前に知り合いから7Cities というプログラムに参加することを勧められました。デリーには1100年〜1947年の間に7つ(または8つ)の都市が造られたと言われています。7 Citiesでは、まず選ばれた約50人が1グループ4〜5人の10グループに分けられ、それぞれの都市と名所を割り当てられます。そしてその名所の歴史、関係した人物などについて調べ、その場所に他のグループの人々を連れてゆき、説明してまわるといういわゆるツアーのようなプログラムです。たまたま私のグループが割り当てられた場所がプラーナ・キラーだったのです。

 

プログラムの主催者からこの日本人が拘束されていたらしいという情報をいただき早速調べてみましたが、大東文化大学の非常勤講師である松本脩作さんによって書かれた中間報告しか見つかりませんでした。また参考文献にはほとんどがご本人による自己出版のものばかり…。日本政府もいろいろ関わっているはずなのに、政府による文献、または記録がない(インターネットでしか調べていませんが)というのは不思議です。しかし、偶然にもプラーナ・キラーの歴史を調べることによって、インドのデリーであまり知られていない自分の国の歴史を知ることができたのはいくら悲惨な歴史であったとしてもとても嬉しく思いました。

 

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今のプラーナ・キラーはフマユーンやシェルシャーによって建てられた建築物、ヤシの木や色鮮やかな植物が咲き、とても素敵な観光名所です。デリーを訪れることがあったら、ぜひプラーナ・キラーへ足を運んでみてください。

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住所:Mathura Rd, Near Delhi Zoo, New Delhi, Delhi 110003, India

参考文献:

http://repository.tufs.ac.jp/bitstream/10108/26289/1/cdats-hub4-3.pdf