ひとったび -人と旅と物語-

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背中をポーンと押された言葉

先日、帰国間近の知り合いにボランティアの仕事を引き継いでくれないかという話をいただきました。でもその時は即答できずちょっと考えさせてという返事をしたのです。

 

なぜ即答できなかったのかというと、Philotradeの仕事もしているためそれに影響がでないだろうかという不安、インドのコミュニティーに深く踏み込むようになる不安などなど先のことをいろいろ考えてしまったからです。

 

そんな時、あるラジオ番組で、朝日新聞出版から出された「私の夢まで会いにきてくれた。3.11亡き人とのそれから」という本の紹介をしていました。

(今や世界中ほぼどこでもWi-Fiさえ繋げられれば日本のラジオが聴けます)

 

東北学院大学のゼミ生が、東日本大震災の遺族の方に夢に出てくる亡くなった家族や友人とどのように交流しているのか。そして夢を見ることでどのように気持ちの折り合いをつけているかというインタビューしたものを載せた本です。  

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                                                     https://goo.gl/G3MGeb

 

(以下ラジオからの引用)

津波でご両親を亡くされた女性:

…両親との暮らしがこれから当たり前ようにずっと続くと思っていた。

忙しさに追われ、父母ときちんと向き合っていなかったかもしれないという思いが心の中に小さなしこりとして残っている。

 

今は誰とでもほんの少しの関わりを持たせてもらった時は「ありがとう」と出会えたことに感謝して口にするようにしている。明日は来ないのかもしれないのだから。うちの両親も含めて津波にのまれた人たちって、先のことも考える間もなかったんじゃないのかな。みんな生きたい、生き抜きたいっていう願いしかなかったと思う。

 

生きている私たちは失敗してもやり直すチャンスがあるし、どうしようかなあて考える時間もあるじゃない。亡くなった人たちは5分、10分あったら生き延びられていたかもしれない。その時間が今の自分にあるっていうだけで幸せなんじゃないかな。

 

地震の後、海辺に近い自宅に忘れた財布を取りに行こうとした友人を津波で亡くした男性:

…あの時、あの友人を止めていれてば津波に遭わなかったのかも。

あー、一瞬なんだな。すべては。そんな考えが頭に浮かんだ。何が人の運命を決めるのかは分からない。けれどほんのわずかな時間で人生が変わることがあるんだ…。

 

この番組を聴いていた時に、ふと聞きたくなったのがAlan Watts(アラン・ワッツ)というイギリス人の哲学者/思想者のスピーチでした。

             www.youtube.com

要約:あたなはいつも将来のために生きてきた。

学生時代にはいい高校、いい大学に入学し、いい企業に入社できるように一生懸命勉強し、会社ではいい仕事をして出世しようとあくせく働く毎日…。

そして、40代のある日、以前から目指していた事を手に入れたことに気づく。

そこに辿り着き夢が現在になると、もうあなたはそこにはいないのだ。なぜなら再び将来に向かって歩き始めているから。

あなたは常に今の自分が存在しない将来に生きているのだ。

「今」この瞬間を思いっきり生きることができなければ、あなたはきっと一生、人生を満喫することはできないだろう。(以上)

 

確か2年前でしょうか。同じスピーチを聞きましたが、あまりピンときませんでした。しかし、インドで生活を始め、自分の体や気持ちと向き合うようになったこと、おもしろい人達、インドの長い歴史や深くて複雑な文化との出会い、さらに7年目の3.11が訪れ、生き残られた方や、今だに大変な生活を強いられている方々の声をまた聞く機会が増えたことから、今このスピーチがすんなりと入ってきたのです。

 

先のことはとりあえず置いておき、自分が存在する「今」をもっと楽しもうと思い始めました。そうしたら、無理かもと思うこともやってみようかなと思うようになりました。

 

で、ボランティアの話に戻りますが、結局引き受けることにしました。一体どんな人に出会うのか、どんなことになるのか全く想像できませんが、今は不安よりその時その時を楽しみ、悩む時は悩めばいいかなと思っています。

 

ラジオの中で、東北学院大学のゼミ生が遺族の方にインタビューをお願いしても何度も断られて心が折れそうになったとおっしゃっていました。でも、諦めずにインタビューを続けてくれたおかげで、このラジオ番組を聴いていたインド在住の私は背中をポンと押され、今、小さな(大きすぎるかもしれない)決断をすることできました。