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どの国の医療が一番いい?〜私が住んだ国の医療事情 その2:スウェーデン〜

スウェーデン  

スウェーデンという国は「平等」という共通理念の元に国が成り立っています。ですから税金から払われる医療保険も、全ての人平等に提供されます。医療サービスにおいては最も必要とされる人に優先的に与えられるということが法で定められています。

 

1年以上スウェーデンに滞在する予定の外国人にはパーソナルナンバー(日本のマイナンバーのようなもの。)が与えられます。

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スウェーデンのIDサンプル(Personnummer 700612-1144 (生年月日+下四桁の数字)=パーソナルナバー)

 

このパーソルナンバーには全ての情報が記載されています。例えば、40歳以上の女性だと、2年毎の乳がん検査、3年毎の子宮がん検査の通知が届き、1回100クローナ(約1300円)で検査を受けることができます。

 

そのサービスを最も必要とする人を優先する法律からすれば、中国やインドのように外国人だからといって特別なサービスを受けられるということはスウェーデンではあり得ないのです。

しかしスウェーデン在住の友人のお嬢さん(18才ドイツ人)が胸に初期段階の癌が見つかりましたが、それに対して早急な診察、手術が行われました。今ではすっかり回復しとても元気にしています。このようにこの先長い将来がありながらも重い病気にかかってしまった人は優先的に医療サービスを受ける権利を持つのです。

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税金から賄われる医療費はなるべく抑えたいというのが政府、病院側の狙いです。

日本では熱が出たからお医者さんに診察してもらい薬をもらって早く治すという考え方が一般的ですが、スウェーデン人はよっぽどのことがない限り医者に行きません。風邪は水分をたくさん取って寝て休めば治るからだとか。ですからいくら高い熱が出ても、血液検査などをして抗生物質を必要としない単なる風邪と診断されると薬の処方をしてもらえません。

 

健康な時にこういう話を聞くと、とてもいいシステムだと思います。私の父は毎日多くの薬を飲んでいるため、副作用のめまいで悩まされています。しかし、めまいを薬の処方をやめると、また他の体の部分に支障をきたすという悪循環な生活を送っている姿を見ているからです。しかし、実際風邪でとても苦しんでいる時に「薬をくれ〜」と叫んでも「単なる風邪だからあげられないわ」というお医者さんの冷たい顔は今でも忘れられません。

 

スウェーデンの医者は当日予約はなかなか取れません。飛び込みの場合はかなり待たされます。スウェーデン在住2年目、ものすごい咳に何日も悩まされ、どうしても医者に行きたいとい思った当日、行きつけのところでは2日後まで予約がとれないと言われました。(これは普通に起こることです。)

そこで親切な友人が自分の行きつけの医者に連れていってくれたのですが、お医者さんに診てもらうまで2〜3時間待たされました。当然待合室にも多くの患者さんが待っています。ようやくお医者さんに会うことができ、症状を説明しとても短い診察をしてもらった後のお医者さんの一言「風邪ね。」診察終了。(怒!)

 

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もちろんいい点もあります。夫がスポーツをしていて肋骨を骨折した時医者へ行った時のことです。少々待たされた後、看護婦さんが待合室に症状を聞きにきました。説明後、その看護婦さんが言ったことは…、

「あなたの説明から判断すると、肋骨が折れているわね。6週間痛み止めを毎日飲んで安静にしていれば治るはず。それでも痛みが残っていたらまたきなさい。今日先生に会えるまで待ってもいいけど、きっとレントゲンを撮って、先生に診てもらっても多分同じことを言うと思うわよ。」と。

夫はこの看護婦さんのアドバイス通り痛み止めを6週間飲み続け完治しました。おかげで待ち時間、レントゲン代、診察代、処方箋代を節約することができたのです。

 

スウェーデンの物価から比べると、健康に関する活動やスポーツ施設の利用費がとても安く設定されています。おそらく医療費を節約するためには、国民に健康でいてもらうことが一番大切であるため、政府がかなりの補助金を出しているのだと思います。

 

1980年代前半、スウェーデン政府がこのような医療システムに変更したきっかけは2つ。

  • スウェーデン人の寿命が延びていること。
  • 高齢化の増加で近い将来医療財政がパンクしてしまうことが予想されること。

だからだそうです。

 

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日本でも医療について議論されていますが、自分の国の医療について改善すべきことは、国ごとの事情が全く異なるため、他の国のシステムをただマネするのだけではすぐに支障がでてきます。

 

まず、自分が病気になった時、そして将来死が近づいてきた時、自分の望む治療方法を得られるシステムを、政治家を含め、今から真剣に考える必要があると思います。そして自分の意思が尊重され、最後まで「人」として生き、接されることが安らかに人生を終えられることなのではないかと最近感じています。

 

どこの国の医療も良い点悪い点があります。多くの国の方々と医療について話す機会がよくありますが、結局は母国語で自分の症状が説明でき、医療側が私たちに理解できるように説明をしてくれるのが一番いいねということに落ち着きます。

 

*各国の救急車の番号

 アメリカ:911

 中国:120、112(交通事故)

 インド:102

 スウェーデン:112。スウェーデン語を学ぶと下から口(一つ)鼻(一つ)目(二つ)と覚えなさいと教えてくれます。